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27 Mar.2012 |
Bandar-e-Anzali〜Masuleh〜Bandar-e-Anzali
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ホテルの部屋からの眺め |
カドウサン・ホテル |
カスピ海 アンズの花
昨夜来の雨は上がっていましたが、どんよりとしたもやに包まれて、すっきりしないお天気の朝でした。
レストランのバルコニーから初めて見たカスピ海も視界がきかず、あいにくな眺望でしたが、
昨日バスの車窓に見た野生のアンズの花がホテルの庭にも咲いていて、間近で見ることができました。
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8時半にホテルを出発し、バンダル・アンゼリの南西80kmに位置するマースーレ村へ向けて、
水田や茶畑などを車窓に、2時間余りバスを走らせました。
空模様も少しずつ回復に向かい、お天気に恵まれた今回のツアーも早や観光最終日となりました。
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途中でトイレ休憩を取ったモスク
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山岳地帯に入ると、渓流に沿って、ツリーハウスやバンガローのあるキャンプ場が見られ、
ギーラーン州の中でも登山や避暑地として人気の高い地域であることが窺われました。
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10時40分に標高1500mのマースーレ村に到着しました。
遠目には山間の傾斜地の集落としか見えませんが、裾野から120mほど段々に建てられた家屋群は、
この地方の伝統建築として、1975年にイラン国立文化遺産に選定されています。
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村に入ると、いろんな所に人が立っていて、少し奇妙な光景が目に入って来ますが、
これは急斜面の狭い土地利用から生み出された屋根の上を道路とした家屋群で、
平らな屋根と石段をセットとして通路が造られている村の中は迷路状でもなく、
自然に上り下りして、方向を見失わずに歩けるようになっていました。
村の下の方は手編み手芸品を始めとする土産店が軒を連ね、
コスプレを楽しんだり、ガフヴェハーネと呼ばれる休憩所で休んだり、様々な賑わいが見られました。
45分ほどのフリータイムは気の向くままに村の中を散策し、
月餅に似た伝統菓子クルーチェのお相伴をさせていただいたり、土産店を覗いたりして過ごしましたが、
どこの国で作ったのか素性の怪しい物を並べているお店も多く見られました。
キャンドヴァン村で諦めたキリム・カーペットをムハンマドさんの通訳で入手したツアー仲間もいましたが、
私はおまけのような孫土産(1個1ドル)を買っただけに終わってしまいました。
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木造部分が多い所にどこか懐かしさを感じたり、歩いている時は不思議を感じなくても、
視線をずらすと、面白い景観に事欠かない村を散策した後、
12時前にマースーレ村を出発、山を少し下りた所のレストランでランチになりました。
レストランの周りに咲いていたプリムラやシクラメン
この日のランチ・メニューはみじん切りにした焼きナスに、トマトペースト、にんにく、バターを加えた
ミールザー・ガーセミーと呼ばれるイラン北部の伝統料理でした。
1時過ぎにレストランを出発して、バンダル・アンゼリへの帰途につきましたが、
この日のドライブはごみの多い車窓風景が続き、
昨夜の雨で汚れたバスの窓ガラスをドライバーのフセインさんにモップで拭いていただいても、
撮影意欲があまり湧かない道中でした。
ムハンマドさんのように「恥ずかしい」と感じる人が多数になった時、規制が生まれるのでしょうか、
道端ピクニックの跡が途切れずに続いているという印象でした。
日本でも人が集まる所には解決しないごみ問題があり、程度の差・・・だけなのですけれど。
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バンダル(=港)・アンゼリへ戻って、アンゼリ沼の遊覧ボートの乗り場に3時前に到着、
ツアー最後のメニュー「カスピ海遊覧」に向かいました。
193平方kmの広さを持つアンゼリ沼は水鳥の生息地としてラムサール条約にも登録されている湿地ですが、
(ラムサールはイランのカスピ海沿岸の街でバンダル・アンゼリの東150kmに位置しています。)
5〜6人ずつ分かれて乗ったヤマハ製のモーター・ボートは、
葦の茂みの中を水しぶきを上げながら疾走、想像していた牧歌的な遊覧とは全く次元の違うものでした。
ライフジャケットに膝かけにマスク・・・と疾走用?重装備の寒々しい写真は、
実はボートの手配を待つ間に、2段ほどの階段を飛び降りたはずみに転倒し、
あごは腫れ、前歯一本欠損という個人的にもみじめな状況だったのです。
今回は予想されるハード・ツアーに備え、コンタクトレンズを止め、50年振りにメガネを着用、
レンズの屈折に慣れない始めの頃は、階段の上り下りには特に注意していたのですが、
メガネ慣れと旅の終わりの気の緩み、安堵感、ハイテンションなど諸々合わせた不注意なアクシデントでした。
後で思い起こしてみると、いつも右手にカメラを持っていますので、(この期に及んでも持っています!)
あごと左手と両ひざで制動してしまったという訳でした。
ホテルへ戻ってから、前回のイラン以来のツアー仲間のKさんから抗生物質、鎮痛剤などをいただいて、
何もしなくても痛むという最悪からは免れましたが、何とも情けない最後の観光となりました。
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・・・ともあれ、初夏には蓮の花の見事な群落が見られるという沼に茂る葦にわずかな自然を見ながら、
カスピ海の海域まで近付いて行きました。
カスピ海は面積37.4万平方kmで、37.8万平方kmの日本の国土に近い世界最大の塩湖ですが、
イラン、ロシア、カザフスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャンの沿岸5か国では
いまだ湖か海のどちらとするか結論に達していない水域で、
海とすると外国船の航行が自由で、国際海洋法条約によって12海里まで領海、
経済専管水域200海里(≒370km)となり、海岸線の少ない国には不利となって、
湖とすると条約の規定外で均等分割になるなど、
豊富な水産資源、地下エネルギー資源を巡って利権争いが続いているようです。
カスピ海有数の良港といわれるバンダル・アンゼリには海外船や荷物を積み下ろしする大型クレーンが見え、
国際問題を差し引いても、やはり牧歌とは程遠い、即物的な世界が広がっていました。
イヤホン・ガイドの電池切れというアンラッキーまで重なった30分の遊覧(・・・)でしたが、
経済制裁のため修理部品も満足に入手できないというヤマハ・モーターボートが
無事に帰着できたことは幸いというべきかもしれません。
4時15分頃、アンゼリ沼を出発して、バスに乗って間もなく雨が降って来ましたので、
これもラッキーのひとつと数えておくことにしましょう・・・。
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5時40分にホテルへ戻り、7時からの夕食はいつものスープとそら豆のシチューというメニューで、
「スープ2種類だけみたい」という声も聞かれましたが、
口とあごのしびれのために、ムハンマドさん作のきゅうりの浅漬け?でさえ手を出せなかった私にとっては、
ありがたい流動食となりました。
8時に食事を終え、レストランのバルコニーから雨の夜のカスピ海を少し眺めた後、
部屋に戻り、早朝出発に向けて帰国スタイルのパッキングをして、早寝を決め込みました。
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