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Oct 17 2004
Montresor〜Angles‐sur‐l'Anglin〜Saint‐Savin〜Chateauroux
   

フランスで最も長いロワール河(1020km)が支流を張り巡らせ、美しい自然と豊穣な田園風景が拡がる
サントル・ロワール地方の‘美しい村’モントレゾールとアングル・シュール・ラングランを訪ねました。
どちらも人口400人足らずの小さな村でした。その後、時間に余裕があるということで、サン・サヴァンの教会まで、
20km程のうれしい寄り道がありました。シャトールーは宿泊だけに寄りました。

   
モントレゾール

羊の梳毛市場
サン・ロッシュ教会
ポーランド伯爵城館 アンドロワ川
牧場 釣り人
 

ロッシュの街から東へ17km程、20分余りバスを走らせて、モントレゾールに着きました。
‘美しい村’認定基準には2つ以上の歴史・文化遺産が必要とされるようですが、
16世紀半ばに建造されたルネサンス様式の装飾を持つサン・ロッシュ教会、
11世紀にアンジュー伯が築城、フランス歴代王の相談役の所有になったり、フランス革命で破壊されたりした後、
1849年にナポレオン3世の友人のポーランドのザビエル・ブラニスキ伯爵が購入し、再建した城館、
羊の梳毛市場、16世紀の家並みがこの村の遺産のようです。中世がそのまま息づいているような村でした。
村の下を流れるアンドロワ川(ロッシュのアンドル川の支流)の周辺は牛が草を食んだり、釣り人がいたり、
広々として、のどかで、本当に気持ちの良い田園地帯でした。案内板によると、川には淡水性のスズキ、カマス、
サケ、ウナギ、ナマズなどがいるようで、釣っても良い魚の大きさが決められているようでした。

 

   
アングル・シュール・ラングラン
Ville Haute (高い村)        Ville Basse (低い村)      
水車 城塞
   
5世紀にドイツからイギリスに移り住んだゲルマン・アングル族の一部が、9世紀に集落を作ったのが、
アングル・シュール・ラングランという村名の由来だそうです。中世には防衛の要衝としての役割を持っていたことを
川の崖の上に残っている城塞が物語っています。アングラン川をはさんで、2つの集落に分かれていました。
19世紀半ばからドロンワーク刺繍が村の伝統工芸とされているようですが、それをゆっくり見学する時間は
ありませんでした。高い村から小さな山道を下り、川辺りを散歩したのが気持ち良かったです。
このツアーで初めて汗ばむ陽気となりました。
   
観光案内所前広場 生ガキの店
ホテル・レストラン -Le Lyon D'or-    <TS> 私達のテーブル
洗礼式お祝いのテーブル パーティの小さなゲスト
 

お昼前に村に着くと、観光案内所前の広場に数台の車が止まって、食料品を売っていました。
村の台所を担っている市のようなものかもしれません。添乗員のUさんにつられて、
思わず生ガキ試食に手が伸びかけたのですが、2年程前から生ガキとは相性が悪くなっていることを思い出し、
用心して諦めることにしました。値段はびっくりする程安かったです。
そこから歩いてすぐのレストランでランチを取りましたが、入ってすぐに、テーブルセッティングの美しさに
目を引かれました。お隣の洗礼式のお祝いは、いろんな世代が30人近く集って、とてもアットホームな
パーティのようでした。私の席から主人公は見えませんでしたが、近くの坊やもなかなかのかわいさでした。
こんな田舎の小さな村で、おいしいお料理に出会えるのが、食文化にも長い伝統を持つ
フランスという国なのだとも思いました。時代と共に変化するものはあるにしても、代々引き継がれている伝統が
確実に存在するからこそ、こういう古い村を大切に守っていくことが出来るのですね。

 

 
サン・サヴァン
サン・サヴァン教会

  天井のフレスコ画 -ノアの箱舟-      <TS>
   教会身廊          <TS>  
 

ガルタンプ川のほとりに静かな佇まいを見せて建つ世界遺産のロマネスク教会です。
教会の長さは73m、尖塔の高さは77mに達するそうです。ロマネスク期には、修道士や労働修士が
石を刻み、積み上げて、4〜50年の歳月をかけて教会を作り上げたそうです。
アーチ型天井には‘天地創造’‘アダムとイヴの楽園追放’‘出エジプト記’など旧約聖書を主題とした絵が
鮮やかな色彩で、60mもの長さで描かれています。この天井を見て、以前にも来たことがあることを
思い出したという方がツアー仲間に2人いました。その時は椅子に横になって絵を鑑賞したそうです。
見上げ続けていると首も痛くなりますが、細部を見るには双眼鏡がほしい高さでした。
これを‘読んでいた’中世人は余程視力が良かったのでしょうね。
フランスの中で最も壮大だといわれるこの12世紀のフレスコ画がほぼ完全な状態で残っているのは、
画家達の卓越した技法のお陰だと言われています。

 

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