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南西フランスの田舎とロマネスクの旅

 
 
教会が木造から石造りに変わった10〜13世紀にヨーロッパに生まれた美術工芸建築様式が
ロマネスクと呼ばれていますが、ブルゴーニュ地方オータンのサン・ラザール教会で6年前に
ロマネスク芸術の最高傑作のひとつに数えられるこの柱頭彫刻と出会いました。

イエスへの礼拝が終った後、ヘロデ王の所へは寄らないようにという天使のお告げを受けて、
エルサレムを避けて帰ったという聖書に出てくる東方の三賢人(王または三博士 )のお話を表したものですが、
ひとつのマントに包まれて寝ている姿、天使が指をつついている愛らしい仕草、マントの模様、
お告げを受けた賢人の目の表情など石工の卓越した技術、表現力が掘り込まれている作品でした。
 
 

これも同じ教会のものですが、正面で三賢人が黄金、没薬、乳香を聖母子に捧げている側面には、
イエスの父ヨセフが一人ぽつねんと座っている姿が彫られています。
何故だか訳が分からないけどお父さんになってしまったよ、と浮かない顔をしていると読んでは、
クリスチャンの方に叱られてしまうかもしれませんが、どう見ても喜びの表情には見えません。

でも、大丈夫。次の柱にはエジプトへ逃避する聖母子を乗せたロバをしっかりとした足取りで
曳いているヨセフの姿が彫られています。(やれやれ家庭安泰です。)

このようなロマネスクの世界に興味を惹かれ、<フランスの田舎とロマネスク>という
11日間のツアーに参加することにしました。
(実は本命のトルコ・ツアーの人数が足りず、不催行になった為の選択でもあったのですが。)

   

 
 Oct 9 2005
Narita〜Paris〜Toulouse
   

10月9日に成田を出発、10日から正味8日間のフランス南西部の旅をミディ・ピレネー地方の中心地、
トゥールーズから始めました。そこから美しい村、ロマネスク教会、ワイナリーなどを訪ねながら
ポワトゥー・シャラント地方ポワティエまで北上した後、
再び南下、大西洋に面したアキテーヌ地方ボルドーから帰国というルートを辿りました。

いつもは京成電車やリムジンバスを使うことが多いのですが、今回はちょうどよい時間の電車があったので、
成田エクスプレスで空港に向かいましたが、車両の半分は進行方向と逆に座席が固定されていて、
値段が高い割には快適とはいえない車内でした。
所要時間が短い訳でもありませんし、乗り換えが少なくて済むことだけが利点という所でしょうか。

今回の旅仲間は夫婦4組、同じ絵画教室の女性3人組、プロの女性画家、ヨーロッパ文化が好きな
1人参加の女性が3人、そして30代の男性添乗員Oさんの計16名です。

雨の中の出発となりましたが、ロマネスクともう一つの旅の重要テーマ、ワインとグルメの国にいざ出発と
心を弾ませながら搭乗口に向かう所でソムリエの田崎真也さんにお会いして、
幸先も良く、楽しい旅の予感を感じさせられるスタートとなりました。


 

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