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Apr 16 2005

Tripoli〜Nalut〜Ghadamis

 
 
朝8時にホテルを出発し、トリポリから南西600kmの世界遺産の町、ガダミスへ向かいました。
途中、トイレ休憩に寄ったカフェのある一画にはバナナ、リンゴ、ミネラルウォーターを売る店、
鶏のおいしそうな焦げ具合がお客を誘う食堂、パソコン店などが軒を連ねていました。
今回のツアーでは、水を入れたバケツ(ひしゃく付き)と穴だけの時、汚れがひど過ぎる時に2度程、
中を覗いただけでトイレをパスしてしまいましたが、それ程不自由は感じませんでした。
リビアにはチップの習慣がありませんので小銭の心配は要りません。
 
 

道路沿いに店が並び、牧畜の様子が見られる町を時々通過しながら、果てしなく続く土漠地帯を進むと、
木がほとんど生えていない岩山が連なるナフサ山脈が見えてきました。

写真は海抜1300mの山頂の町、ナルートの手前で見たリビアの広告(?)です。
1960年代の油田試掘時に見つかった氷河期の化石地下水を汲み上げ、直径4m(最大)の地下パイプを通して、
砂漠から海岸地方の都市に水を供給する大人工運河(The Great Man‐made River)国家プロジェクトのことが
現地で買ったガイドブックに‘The Conquest of the Desert’と紹介されていました。
‘From Libya the new comes.....’と紀元前5世紀のギリシアの歴史家ヘロドトスの言葉を引用して、
カダフィ大佐の緑化政策事業を讃えているようでした。
壁の地図にはそのような意味が込められているのかもしれません。
右側の山には‘9月1日を永遠に’と1969年の無血革命を記念した文字が刻まれていました。

 

   
ナルート旧市街


 「撮影料1ディナールよ。」と冗談で指を立てる老人

              

  再現された室内
住居の様子
 

北アフリカ原住のベルベル人が(先史時代にエジプトを経て移住してきたアジア系民族だと言われています。)
次々とやって来る侵略者から逃れて築いた800年前の住居跡を見学しました。
クサ−ルと呼ばれる要塞兼穀物貯蔵庫や住居、モスク、ワイン貯蔵庫、ロバにひかせたオリーブ・オイル絞り臼、
生活用品などを見て回りましたが、こんな高い所まで追われながらも逞しく生き抜いて行った人々の息遣いが
今も感じられるようでした。生活の不便さやカダフィの住宅政策によって新市街へ移る1980年代まで、
実際に人々はここで暮らしていたのだそうです。
現在ベルベル人はヨーロッパに300万人、アフリカに1000万人いると言われています。

   

   
 

ナルートの新市街で昼食を取った後、一路ガダミスへ向かいました。トリポリからナルートまでは
5〜60km毎にあった町が、ここからは100kmに一つの村しかないという砂漠地帯に入りました。

昨夜トリポリ空港で乗り込んだ時に、まるで護送車のようだと思ったバスの暗幕カーテンが、
灼熱の季節に砂漠を走る時の熱遮断用だけのものではなかったということが、この時に判明。
バス・ドライバーのムフタァさんが用意してくれていた「オマール・ムフタール」(音声英語、字幕アラビア語)の
ビデオ上映が始まりました。砂漠を走るバス映画館というのは予想外の体験でした。
ムフタールが処刑される場面で、アルベイダのホテルで出会った結婚式の時と同じように
女性達が高音の叫び声を上げていましたが、これは処刑を悲しむというのではなく、昇天を祝うという意味、
Cry of Joyと呼ばれる「ユーユー」という擬音語なのだそうです。
映画は邦訳の「砂漠のライオン」の方をもう一度観てみたいと思います。

ラクダの大群に出会ったとき、ビデオを中断して、写真ストップ・タイムが取られました。
ラクダは冬には1ヶ月、夏は3日に1回水を飲むためにオアシスの飼い主の元に戻るのだそうですが、
こうしてわずかな草を食べながら放牧され、やがては食用にされてしまうとは・・・・。
普段馴染みがなく、遠い国の代名詞のように感じる動物だけに、エキサイトすると同時に
憐憫のような思いを感じてしまいました。 

 

   
ガダミスのウィンズリック・ホテル                                  −TO−
 

トリポリから10時間半余りかけて、ようやくガダミスの小さなホテルに到着しました。
たった14室という部屋数、TVも電話もバスタブも部屋にはなく、隣の部屋の声は筒抜け・・・・。
でも、はるばるやって来たサハラ砂漠のホテルで、立派なホテルに泊まる方が興ざめですよね。
枕もとに懐中電灯を用意して、ちょっと砂漠気分を味わいながら、長いバス旅の疲れを休めました。

 

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