モロッコにはジブラルタル海峡に面するセウタとアルジェリアに程近いメリジャという2つのスペイン領がありますが、
476年に西ローマ帝国が滅亡した後、首都をトレドに置いてスペインを支配していた西ゴート族を
イスラムのウマイヤ朝が滅ぼした時、その進出の拠点となったのが今回訪れたセウタです。
セウタは8世紀当時も西ゴート国領であったのですが、セウタ総督フリアン伯の娘フロリンダを巡って、
トレドのロドリーゴ国王との確執があって、フリアン伯はイスラム側へ寝返ったと言われています。
真実はともあれ、政情不安定も大きな要素となって、イスラムはわずか2年でイベリア半島を征服しますが、
その端緒を切ってイスラムの北アフリカ総督ムーサの指令でジブラルタルを渡ったのが、
ターリク・イブン・マルムークです。ターリクが上陸したイベリアの山麓は
ジャバル・アル・ターリク(ターリクの岩山)と命名され、
それが訛ったのがジブラルタルという地名だと言われています。
その後イスラムが衰退し、セウタは1415年からポルトガルに支配されますが、
1580年にポルトガルがスペインに併合されて以降、現在に至るまでスペイン領のままとなっているそうです。
朝食後、ホテルの周辺を散歩して、国際的なリゾート海岸やポルトガル時代に作られた
サン・フェリペ要塞などを見て歩きました。
私達の泊まったパラドール・ラ・ムラーリャは「城壁のホテル」という名前で、
城壁を取り込み、兵舎を改装して作ったパラドールのようですが、
多分、新館の中だけで過ごしてしまい、全容を見過ごしてしまったのが残念です。 |