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20 Feb 2007
Torremolinos〜Ronda〜Torremolinos
 
 

小雨の降る中、9時にホテルを出発してロンダへ行きました。
地中海沿いの道から、オリーブ畑が続く田園や重なる山並みを車窓に見ながら、
ロンダ山脈に分け入り、2時間ほどで断崖絶壁の上に立つロンダの街に到着しました。

 

   
旧市街 新市街
ヴィエホ橋
新旧両市街をつなぐヌエヴォ橋
   
グアダレヴィン川が削ったタホ峡谷の上に立つロンダの街は40年の歳月をかけ1793年に完成した
ヌエヴォ(新しい)橋によって旧市街と新市街に2分されています。
ヌエヴォ橋の新市街側のたもとに立つパラドールの裏手にあるヘミングウェイ通りというプレートが貼られた
遊歩道の散策を始めた頃には雨もほとんど止み、
芸術家達にも愛されたというダイナミックな峡谷、山岳都市風景をゆっくり楽しむことができました。

新市街側からタホ峡谷を少し下り、アーモンドの花が美しい公園のビューポイントから、
高さ100m近くあるというヌエヴォ橋の迫力ある全容や、1616年に作られたヴィエホ(古い)橋を眺望し、
ロンダが天然の要害の地であったことを目の当たりにしました。
ロンダはイスラムからキリスト教国軍の手に落ちた後、伝染病の流行などで廃墟となった時期を経て、
モリスコや盗賊、密輸業者が住むアウトローな街となり、その荒々しいイメージで文豪達の想像力を
かきたてて行ったようです。(「カルメン」のドン・ホセが逃げ込んだ街です。)
   
 サント・ドミンゴ修道院
サンタ・マリア・ラ・マヨール教会
 
ヌエヴォ橋を渡って、モスク跡に建てられたロンダの守護神を祀るサンタ・マリア・ラ・マヨール教会や
サント・ドミンゴ修道院、鉄製バルコニーやパティオ(中庭)を持つ建物を見ながら、
イスラム時代の面影を留めた狭い路地が続く旧市街を散策しました。
散策組と買物組に分かれた1時間余りの自由時間のようです。
   

 
マエストランサ闘牛場
 

12時半過ぎにガイドのアントニオさんと合流し、スペイン最古の闘牛場を見学しました。

闘牛はギリシャの宗教儀式やローマ時代に娯楽として行われた人間と動物との格闘が原型とも言われますが、
中世には騎馬闘牛という貴族のスポーツ、近世になって馬から下りて戦う庶民の娯楽となって行ったそうです。
騎馬闘牛をやっている途中に転んで馬の下敷きになった貴族を緑色のハンカチで牛をおびき寄せて助けた
フランシスコ・ロメロ(1698−1793)があみ出したのがロンダ派闘牛の原点だと言われています。
息子ファン・ロメロ、孫ペドロ・ロメロと引き継いでロンダ派闘牛を芸術の域にまで高めていった
スペインの伝説的な英雄一族の歴史、功績を闘牛場に併設された博物館で見学した後、
1784年に作られた闘牛場に入りました。

ピカドール(槍方)が表・ピンク、裏・黄色のカポーテ(ケープ)をかざして、牛の動きから性質を見極めながら、
マタドール(闘牛士)が仕留めやすいように牛の肩を軽く3回槍で突き刺す場面、
バンデリーリョ(銛打ち)が牛の背に銛を突き立てるという最も勇気を要する場面、
マタドールが真紅のムレータ(布)と剣を持ち、巧みに牛をかわす技を披露して「真実の瞬間」と呼ばれる
殺しのクライマックスを迎える3つの場面で構成されているのがロンダ派の闘牛だそうです。
1時はマタドールを志したことがあるというアントニオさんが、自身のコートやツアー・メイトのステッキを借りて
各場面を熱演して見せて下さいました。

ペドロ・ロメロの生誕200年の1954年以来、闘牛の黄金時代の様子を多く描いたゴヤに因んだゴヤ風闘牛が
毎年1度、9月にこの闘牛場で行なわれるそうです。

 

 
 
1761年に建設された旧市庁舎を利用したパラドール・デ・ロンダ内のレストランでランチをいただきました。
小さなスプーンに入ったムースの前菜、野菜とハムの炒め物、ポークのヒレステーキ、フルーツシャーベットに
この辺りの名物ブドウジュース、モスコを頼み、豊かなランチタイムのひと時を過ごしました。
スペインを旅するならばパラドール(国営ホテル)を利用すれば間違いなさそうです。
 

 
パラドール・デ・ロンダ 新市街の商店街
 

3時20分頃ロンダを出発し、バスでトレモリーノスまで帰りました。
その頃から雨が本降りになり、今日の予定に入っていたカサレスに昨日寄ったのは正解だったと思いました。
98年7月に40℃を超す灼熱の季節のロンダに立ち寄ったことがありましたが、
雨模様の寒さの中ながら、風情の違う早春の街の顔を見ることが出来て、良い思い出となりました。

ホテルに6時に到着、夕食の時間までは部屋でゆっくり過ごしました。

 

 
 

8時15分にホテルのロビーに集合して、バスで海沿いにあるレストランへ行きました。
サラダとパエリア、クレマ・カタラナ(スペイン風プリン)というメニューの他にスペインの最高級生ハムといわれる
ハモン・イベリコを注文しました。ドングリを食べさせたイベリコ種黒豚の腿肉を2年近く熟成させた逸品で、
日本の牛肉のように赤身に脂肪が入り霜降りになっていますが、脂っこさはなく、
イタリアの生ハムよりも塩分が少ないように感じられました。

食後は雨も止んでいましたし、「ちょっと運動不足気味で・・・」と言われるMさんと私達夫婦は、
バスに乗らず、歩いてホテルへ戻りました。
「バスより早く着くと愉快ですよね。」などと話ながら、人通りのない暗い海沿いの遊歩道を早足で歩き、
ホテルへ着くと、ちょうどバスのヘッドライトが見え、
大袈裟に手を振って、「お帰りなさ〜い!」とツアーメイト達を迎えることが出来ました。
現地の人が歩いて15分という道のりを11分で歩いて得られた快挙?でした。

 

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