12時半過ぎにガイドのアントニオさんと合流し、スペイン最古の闘牛場を見学しました。
闘牛はギリシャの宗教儀式やローマ時代に娯楽として行われた人間と動物との格闘が原型とも言われますが、
中世には騎馬闘牛という貴族のスポーツ、近世になって馬から下りて戦う庶民の娯楽となって行ったそうです。
騎馬闘牛をやっている途中に転んで馬の下敷きになった貴族を緑色のハンカチで牛をおびき寄せて助けた
フランシスコ・ロメロ(1698−1793)があみ出したのがロンダ派闘牛の原点だと言われています。
息子ファン・ロメロ、孫ペドロ・ロメロと引き継いでロンダ派闘牛を芸術の域にまで高めていった
スペインの伝説的な英雄一族の歴史、功績を闘牛場に併設された博物館で見学した後、
1784年に作られた闘牛場に入りました。
ピカドール(槍方)が表・ピンク、裏・黄色のカポーテ(ケープ)をかざして、牛の動きから性質を見極めながら、
マタドール(闘牛士)が仕留めやすいように牛の肩を軽く3回槍で突き刺す場面、
バンデリーリョ(銛打ち)が牛の背に銛を突き立てるという最も勇気を要する場面、
マタドールが真紅のムレータ(布)と剣を持ち、巧みに牛をかわす技を披露して「真実の瞬間」と呼ばれる
殺しのクライマックスを迎える3つの場面で構成されているのがロンダ派の闘牛だそうです。
1時はマタドールを志したことがあるというアントニオさんが、自身のコートやツアー・メイトのステッキを借りて
各場面を熱演して見せて下さいました。
ペドロ・ロメロの生誕200年の1954年以来、闘牛の黄金時代の様子を多く描いたゴヤに因んだゴヤ風闘牛が
毎年1度、9月にこの闘牛場で行なわれるそうです。
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