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17 Oct.2012
Fuente De~Potes~Leon


1928年に建造、1966年に開業したフェンテ・デのパラドールは歴史的な由緒は分かりませんが、
切り立った石灰岩の高山の景観とマッチした外観、豪華すぎない室内が気持ちの良い山岳リゾート・ホテルでした。
登山や避暑の他、ハンター客が中心で、12~3月は休業するそうです。


 

この日は遅いスタートでしたので、久し振りにゆっくりとした朝を過ごしました。
パラドールの庭へ出ると、私達の部屋の隣室だったママ友歴20数年のFさん、Mさんの姿が見えました。





 

小雨が降ったり止んだり、たまに日差しが薄く射す中を散歩していると、放牧中の動物たちに出会いましたが、
私の目の前をアルタミラの洞窟画のような勢いで疾走していったように見えた牛達が、
写真ではただのんびり歩いているようにしか見えません・・・。(腰引け気味だった・・・?)
ともあれ?自然豊かな土地で育っている牛や馬には、野性的な美しさが感じられました。



9時50分にロビーに集合して、パラドールに隣接するロープウェイ乗り場へ行きました。
標高1000m余りから1926mのカブレ展望台まで3分ほどで上ると、14℃の気温が4・9℃まで下がりました。



ロープウェイを降りて、展望台へ出ると、下方にパラドールが見えていましたが、
それも一瞬の中に雲に隠れたり、また姿を現したりと山のお天気はめまぐるしく変化していきました。



レストハウスから少し山を登ってみましたが、雨と風と霧で寒いばかりで、散策もそこそこに、
お土産物店を覗いたり、コーヒーで暖まったりして、11時にパラドールへ戻りました。

展望台からの遠望ができなかったのは心残りですが、雄大で静かな山の空気を充分に堪能して、
11時15分にフェンテ・デを後にしました。



山を下って30分ほどで、ベアトゥス(?~798年?)が修道士生活を送り、
「ヨハネ黙示録注解」を執筆したサント・トリビオ・デ・リエバナ修道院に到着、付属聖堂内を見学しました。


  

この地方で布教活動をしたサント・トリビオ司教の墓石を見た後、聖堂内に入ると、
ミサが始まる前に取り出していたイエスが磔刑された時の十字架片を間近かで見ることが出来ました。
十字軍が持ち帰った?聖遺物の真偽はともかく、こうした宗教の歴史的背景には関心を覚えます。
修道院前の中庭にはバラやアジサイがきれいに咲いていました。


  

修道院回廊に展示されている写本コピーのその又コピーの絵葉書を数枚買ってきましたが、
左はノアの箱舟、真中は4人の福音記者と思ったのですが、よく見ると、4匹の怪獣が何を意味するのか分からず、
右の下段では最後の審判で地獄へ落とされた人々が裸で遊泳しているように描かれています。
ロマネスク芸術の原点といわれる写本は、豊かな色彩や表現力が魅力的で、本当に面白く思われます。




  

12時20分にポテスのレストラン「Paco Wences」でランチとなりました。
豆シチュー、ポークかつ、カスタードのデザートは、また完食、お代わりの声が聞かれました。
ウィンナー・シュニッツェル、はた又、薄目の豚カツは国を超えた料理レシピともいえそうです。



1時25分にレストランを出て、山道を南へ走っていると思っていたら、やがて車窓に海が見えて来ました。
どうやら遠回りしても時間が短縮出来る高速道路を選んだようで、カンタブリア海を西進した後、
ヒホンから南へと向かっていきました。これはレコンキスタの発端となったコバトンガや
プレ・ロマネスク建築が見られるオビエド・ルートだと思うと立ち寄れない残念感が募るようでしたが、
パッケージ・ツアーでは致し方なく、諦めるほかはありません・・・。
車窓にたくさん見られたパンパスグラスの群落には南米とのつながりが感じられました。



レオンのパラドール「Hostal San Marcos」に5時20分に到着しました。
スペインに94か所あるパラドールの中で「最大かつ最も荘厳・華麗」と言われるパラドールは、
シャンパンのウエルカム・ドリンクで出迎えてくれました。




部屋はスィート・ルームを除けばそれ程の差はなさそうで、今回は割り当てられた部屋になりましたが、
クラシックな鍵が難物で、開けるのに苦労した人が多かったようです。
窓の下には美しい整形式庭園が広がっていました。


  
  
スーツケースを受け取ってから、早速、パラドール見学に出掛けました。

巡礼者の救護院を兼ねた12Cのサンチャゴ騎士団の本部を基とし、16~18Cに修道院兼病院として
建設されたサン・マルコス修道院は、1964年からパラドールとして使われています。
天井の高いロビーやサロンが絵、タペストリー、アンティーク家具で飾られて美術館のような趣きでした。



外へ出ると、プラテレスコ様式(スペインのルネサンス様式)の美しい装飾を施した100mを超えるファサードが、
広場の一画で堂々とした風格を見せていました。




844年のクラビーホの戦いでキリスト教軍が負けそうになった時、
白馬にまたがったヤコブが空から降り立ってイスラム軍から救ったという伝説に因んだ
マタモロス(=イスラム教徒殺し)のヤコブ像が正面入り口を飾っていました。



サン・マルコス教会

1541年建造のサン・マルコス教会は扉が閉まっていて、時間外かと思ったのですが、
パラドールの中から回廊を通って行くと、中へ入ることが出来ました。



  

教会内部、併設の博物館、ギャラリーを兼ねた回廊など、パラドール内を見学するだけで、
有に1時間を超えた夕方の散策となりました。



7時半からのミサも回廊脇の図書館からこっそりと覗いてみました。
罰当たりなアングルかもしれませんが、中世の建造物には覗き部屋など様々な仕掛けがありそうです。


   

パラドール内レストランでの8時半からの夕食は、ハモン・イベリコ、エビのグリル、イカと野菜のリゾット、
チーズ・スフレと見かけもおしゃれで、ワイン・リストで選んだリオハ・ワインをシェアして、
改めてルート変更だけで済んだストの余波に安堵し、由緒あるパラドールに宿泊できたことを喜び合いました。



ライトアップされたパラドール

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